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2011年9月20日 (火)

「言葉を失った」話(上)

  私は私立高校に常勤講師として勤めているが、来年度の正規採用に向けて現在準備を進めている。その中で、当然志望理由書を書かなければならない。以下の文章は、その志望理由書の一部分だが、内容が内容だけに全面改訂を迫られた。まぁ、無理もないか…。

 「こんな学校、辞めたるわ」こう叫びながら教室のゴミ箱に教科書を投げ捨てた。中学生のとき、心に深く傷を負い、不登校になった彼は、高校生活にも希望が見出せず、教室にも居場所がなかった。生徒指導上の問題を数多く抱え、何かきっかけがあれば退学するつもりで日々過ごしていた。彼が2年生の時に担任となった私は、何も事件を起こさないで欲しいと常に祈っていたが、頭髪指導に不満を感じた翌日、教科書を投げ捨て、退学届けを持ってきたのだった。当初、私は学校の規則に従わない者は辞めても良いと考えていた。自分自身に合った進路に進むことこそが本人の幸せであり、無理に学校に残すことは、担任のエゴに過ぎないのではないかという思いもあった。

 そんなとき、同僚の先生方から「先生自身どうしたいの?」「先生は彼に対して何も要求はないの?」と言われ、言葉を失った。今まで生徒に対して、何も問題を起こすな、という指導ばかりして、立派な人間になり、社会に貢献出来る人間になって欲しいという要求はしてこなかった。

     (S(私立高校)。つづく)

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