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2011年11月27日 (日)

「教育基本条例案」を授業でとりあげてみた(続)

 この「条例を教える」授業について、朝日新聞の生活面で取りあげられました。
 ちょっと長いけど、引用。

<以下>

競争・義務…教育どこへ 親・子から見た大阪府の基本条例案

 子どもの可能性を信じる心が大人にどれほどあるでしょうか。大阪府議会で審議中の教育基本条例案。知事が教育目標を決めることや、学力テストの学校別結果公表、保護者の学校運営への参画「努力義務」などが盛り込まれています。保護者や子どもの目線でその中身をあらためて見つめ、教育とは何か考えてみました。

 ●「夢描くには時間必要」

 大阪府摂津市の女性(49)は中学生から大学生まで3人の子の母親。「条例案は全体に学力を上げたいようだ。けれど、何が学校で新たに始まるのだろうか」と戸惑う。

 子ども3人は吹奏楽部で活動。「先生が目標を提示し、子どもが伸びていく様子を見守ってきた」という。「子どもは一人一人力を持っているけど、それが何なのか本人も分からない。夢を描ける時間が必要。義務教育の間は点数に振り回されないでほしい」

 部活動などへの親の役割分担については、「もちろん協力するが義務には疑問。できない家庭もあると思う」。

 競争主義をうたっているのも条例案の特徴だ。

 豊中市の女性(46)は、高校2年の息子が小学生の時、新設された習熟度別クラスが1年で廃止になったと話す。保護者から「いじめのもとになる」という意見が出たからだ。「できる方」の子がもう一方のクラスを揶揄(やゆ)したという。女性は「そうさせないのが教育。競争は大事だけれど、思いやりや優しさを教えないと」と力を込める。

 一方で「習ってない漢字を書いたらダメ」という先生もいた。「ぎすぎすしないで、温かい気持ちで教育してほしい。でも、それを法律や条例で表すのは難しいですね」

 また、教員にも成果を厳しく問う。高槻市の女性(44)には小学6年と中学3年の子がいる。2人とも不登校だ。「先生に相対評価がつくようになると、うちの子がマイナス要素になってしまうんじゃないか」と心配になる。

 案が出てきた背景には「つながりの貧困」がある。そう指摘するのは、3人の子の母親で、子育て支援活動をしている柳瀬真佐子さん(51)。「親や地域のつながりが薄くなって、信頼できる人がみつからない。だから自分の子だけでもよくなってほしい、となる。不満や不信の旗を振らなくてもいいようにするには、親と学校が顔の見える関係をつくって協力しあうことではないでしょうか」

 ●「勝敗と思いやり、矛盾」
 条例案を授業で取り上げた学校がある。大東市の府立緑風冠高校の佐藤功教諭は10月、2年生の日本史の中間テストで「知事による教育目標の設定や3年連続定員割れした学校の廃校規定などを含んだ教育基本条例案が審議されている都道府県はどこか」と時事問題として出題。246人中、正答率は68%だった。

 「影響がある生徒の気持ちを聞いてみよう」と、佐藤教諭はテスト後に条例文と複数の新聞記事を用い、意見の押しつけに注意しながら内容を説明。授業後のアンケートでは賛成29%、反対55%、わからない・無回答16%だった。

 賛成意見は「他国との競争に勝たないといけないので学力向上は必要」「格差はあって当たり前」「まじめに勉強に取り組んでいる人が得するのは当然」などがあがった。

 一方、「競い合いの中で弱者を助ける勇気と思いやりを持てる人なんてそういない。自分のことで精いっぱいになる。矛盾している」「教育に口を出したくて民意だと言っているように見える」「僕たちは機械ではありません」という指摘も。「もっと子どもたちに詳しい内容を教えて意見を聞いてほしい」という声も目立った。(中塚久美子)

 ◇教育と権力、戦争の反省
 英国の教育・福祉に詳しい岩橋法雄・琉球大法文学部教授(教育行政学)の話 条例案を練った大阪市議の理想の教育モデルは、英国のサッチャー改革だという。だが、当時の英と今の日本は違う。低い学力水準にあった英は、全国一斉テストや学習指導要領の導入など、到達度をはっきりさせる手段を選んだ。日本は目標が指導要領で示され、仕組みもある。英は結局、権力的導入と競争主義が現場を疲弊させ、一斉テストは一部廃止された。今の教育制度は、権力が介入して戦争に進んだ反省の上にあることを忘れてはならない。

 (朝日新聞11月18日 朝刊生活面より引用)

 今日は選挙。
「教育基本条例」を落ち着いて議論するのは、さあ、ここから。

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