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2012年11月20日 (火)

【立ち読み】「早蕨」10月号⑥ 「基本条例下の大阪で何が議論されているのか」

  この夏、あいついで2つの中間まとめが発表されました。「大阪府教育振興基本計画の策定に向けた中間まとめ」と「府立高校の再編整備について中間まとめ」です。これは、先に制定された大阪府教育行政基本条例と大阪府立学校条例の具体化です。
  紙幅の関係で詳細について触れられませんが、大阪府教委HPで見ることができますのでぜひご覧ください。
  本稿では、現時点での若干の「中間批判」を行います。次号では、この間大阪で起こっている動きを報告できればと思います。

■教育振興基本計画
  基本計画では「大阪の教育をとりまく状況」について、人口減少社会と少子高齢化、国際化・経済のグローバル化、雇用環境の変化、格差の増大と固定化などの項目をあげて課題認識を示しています。
 
そのうち次の2点にまず注目します。すなわち、「国際的な競争が激しくなる中において日本が持続的な成長をしていくため、
  また、日本の若者が力強く生き抜いていくためには、コミュニケーション能力をはじめ、グローバル社会での活躍を視野に入れた知識・能力の育成が必要」「雇用情勢が悪化し、また、雇用形態が多様化する中、社会の一員として自立して生きていくための豊かな勤労観や職業観を育てる必要。」
 
  こうした現状認識と課題認識には、日本の経済的な地位の低下に対する危機感があります。そのために「持続的な成長」のためのグローバルな人材、「力強く生き抜く」若者を育てること。教育基本条例案では「都市間競争」に勝ち抜くことが謳われていましたが、こうした教育観は昨年の基本条例と変わりません。
 
  次に雇用環境の変化の中で、勤労観や職業観を育てることを謳っています。いわゆるキャリア教育の推進ということでしょう。
 
  しかし、これまでキャリア教育は、道徳主義的に流れる傾向を批判されてきました。そもそも「観」を指導することで、この厳しい雇用環境が何とかなる問題ではありません。自己責任論ですませてしまう危険をもつものだと考えます。
 
  他にも、格差の固定への懸念を指摘して、それに対し「確かな学力」を生徒に身に着けさせることを謳っています。しかし、今の格差と貧困の問題は、個人の学力をあげることで何とかなるようなレベルの話ではありません。社会の構造的な矛盾に起因するもので、その矛盾を問わない、覆い隠すものであるということです。

(下略。首藤広道。「早蕨」10月号。購読申し込みは、左記、「メール送信」へ)

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