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2012年11月 6日 (火)

高校生版「いじめられている君へ」

 サトウです。

 朝日新聞に連載されていた「いじめられている君へ」を使って授業をしました。
 全37編を読み、「高校生として、これは説得力があるなあと思う意見はどれか」「この企画はいじめに悩む子どもたちに役立つのか」などを考えるなかで、次々と「自分のこと」を語り始める生徒が現れてきました。

 5回連続授業の最終回は、朝日新聞の氏岡記者にわざわざ来阪、授業をしていただき、生徒たちに「高校生版・いじめられている君に」を書いてもらいました。

 見学に来られたYさんの報告です。

<以下>

「彼らを前にしたら、率直に話す以外ないのです」
 氏岡記者は、授業が終わったあと、生徒たちへの誠実な話しぶりに感心している私に、こう言われました。

  そうなのです。選択科目「一般教養」を受講している29人の生徒たちは、一人もおちゃらけることなく、集中して氏岡記者の話をきき、前時までに書かれた友だちのメッセージを真剣に読み、それへの意見を書き込んでいました。それは、日常ではあまり経験することのないヒリヒリするような空気感で、「やらされている感」は全く感じられませんでした。

  この講座は今回で5回目、これまで大津の事件後に連載された朝日新聞の「いじめられている君へ…」を読んだり、新聞投書欄に載った連載への意見(この内容が中高生たちの心をつかむのかという疑問と意味がある記事だという意見の両方)を読んだりし、そのたびに自分の意見を書いてきたということでした。

 この積み重ねが、十分に生徒たちの気持ちを耕し開放したのでしょう。
 さらには、講座の3回目に、自分のいじめられた辛い記憶を書いてくれた友だちがいたことで、生徒たちがいじめをより自分の問題としてとらえたこともあるでしょう。
 また、この日は授業で読んできた記事に関わった氏岡記者によって、記事が読者に届けられるまでの新聞社内でのやりとりが語られ、その率直で誠実な語り口が、彼らの心をつかんだのかもしれません。とくに、取材でのやり取りが社内でかなり論議になったという話があり、そこに真面目に子どもたちと向き合おうとしている大人たちの存在を感じてくれたのかもしれません。

  あの教室には、この場所なら本当の自分でいて大丈夫、素の自分でも誰も襲ってこない、そう思わせる装置がいくつもあったような気がします。それは、彼らが書いた「高校生版いじめられている君へ、いじめている君へ、いじめを見ている君へ」の中に、辛い体験の告白がいくつもあったことにも表現されていると思います。

  子どもに言葉を届けるには、なにか触媒のようなものがいるのかもしれません。その触媒の一つが、佐藤先生たちが取り組んでいるような授業なのでしょう。正解も不正解もない、自分の意見が弾かれることのない授業、考えがいのある授業、そういう時間の積み重ねがあって、大人が伝えたかった「いじめなんかで死ぬな」「なかまを殺すな」というメッセージが、子どもたちの心をつかんだ、私はその場面に遭遇したのだと思っています。

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