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2012年12月 3日 (月)

【立ち読み】「早蕨」10月号⑨ 大阪府教員採用試験を受けなかった学生のつぶやき①

  大阪出身ながら大阪府の教員採用試験を受けなかった学生さん数名の手記。
 そのうちの1人、Bさんの文章を全文掲載。

<以下>

  私は、教育とは崇高なものであると考えている。明るい未来と豊かな社会を創造する可能性を秘めた力があると考えている。
 
一方で、人々の人生、人格、思想を左右するほどの力があるとも考えている。戦前では教育の力により、国家が(教師はそれに加担するかたちとなり)多くの教え子に「正義」を教え込み、それを信じこんだ教え子たちを育てるに至ったこと、教え子たちを戦場へ送り出す結果となった歴史がある。これは悲しい事実であり、私は教師となった時、同じような悲劇を引き起こしたくはないと考えている。

  教育の秘めている恐ろしさをよく理解した者こそが主体的かつ中心となって教育に携わっていくことが今も将来的にも必要とされることだと考える。そして全ての国民があらゆる角度から教育のあり方、考え方について活発に議論し交流し合う社会こそが理想であり、その先には常に子どもたちの豊かな成長と権利を保障する目的がなければならないと私は考えている。決して教育が上記以外のある一定の目的(例えば、国の経済成長政策の実現、手段)のために利用されてはならないと考えている。
 
しかし、今回の大阪府教育行政基本条例を受けて、もしかすると私が恐れているような結果を生み出すことに、私自身が加担しかねないのではないかと感じた。だからこそ大阪府で教員採用試験を受けない決断をした。その理由のひとつが「知事」の必要以上の教育への介入という可能性を秘めている点である。条例の中で、知事は教育委員会とあらゆる場面で協力体制をとることになっている点が気になる。

  教育委員会はもともと、戦前の反省に立って、教育が政治と密接につながり、政策に利用されないよう、教育の中立性を確保するために教育委員会法を根拠に組織されたものであったはずで、教育委員会法が地方教育行政の組織及び運営に関する法律に変わったからといって、その教育の中立性は守り続けるべきであると考える。つまり、教育委員会こそがまず、自分達の教育観や現場、地域の意見を積極的に取り上げ、活発な議論を繰り返し、リーダーシップを発揮し、教育の方向性を示すべきであると考える。しかし、まるではじめから知事の意見を求めるかのような姿勢がみられ、教育委員会が楽をしようとしている感じがするのが許せないのである。また、知事が教育に関わる内容については、教育界や教育現場が求める「教育条件の整備と拡充」のみでよいと考える。それ以外の教育への積極的な介入は、知事の考えを押しつけるような可能性を秘めており、それは戦前の悲劇を繰り返しかねない、上意下達のシステムを確立させてしまう危険性があるといえるのではないかと思う。だからこそ、私は大阪府の教員採用試験を受けなかった。
 
  (つづく。「早蕨」10月号。購読申し込みは、左記、「メール送信」へ)

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