おすすめ情報

本の紹介

« 藤圭子さんのこと | トップページ | 土肥 信雄さんの「体罰否定論」 »

2013年9月 2日 (月)

【立ち読み】「高校生活指導」196号③ i -changer~さよなら過去の自分

(第1特集は「希望としての生徒会」。大会基調となった酒田実践ほか、数々の「希望」が展開されています。大阪からは、例会や近ブロで発表された細川さんの定時制生徒会の「映画づくり」実践です)

(前略)7月の第2回考査が終わり、夏休みを目前にミーティングは週に2、3日の頻度で行われた。テーマ設定とストーリーの大筋を示した後、なるべく生徒が主体となって進めてほしいと思っていた顧問は脚本係にMを任命。彼女を主体に役員たちからアイデアを引き出すことになった。ストーリーの肉付けのためにまずは生徒の声や実体験をヒントにしようと、役員に投げかけた質問は、「なぜ学校に来るのか」。返ってきた答えは、「学生だから」「友だちがいるから」「卒業して、就職するため」「学校は慣れるのに時間がかかるから嫌」。なかには、「楽しい。勉強も部活も、授業受けるのも」という意見も出た。

 また、彼らの過去を互いに共有し、振り返る場面もあった。不登校・いじめを乗り越えてきた経験、両親が育児放棄をし、祖父母に育てられたことを明かしてくれた生徒もいて、彼らが幼少期に家庭環境や学校での人間関係に苦労してきた背景が浮かび上がった。7月中旬から8月初旬にかけて行ったこれらの対話は、脚本を書く上でのヒントになったと同時に、役員同士の心が近づくきっかけになったように思う。ところが、夏休みを目前にしたある日、意見を積極的に出す者と出さない者との間で板挟みになっていたMの我慢が限界に達した。当時、Mが交際していた前生徒会長の男子生徒までもが割って入り、「最近の生徒会はおかしい」とイチャモンをつけた。その場にいた役員は唖然とし、その男子生徒と元々ソリの合わないSが憤慨、気まずい雰囲気が流れた。それ以降、9月中旬までMは生徒会に現れなかった。

 Mの欠けた生徒会は、今まで彼女に任せきりにしていたことを反省し、残された6人でやっていく覚悟を決めた。夏休みに入ってからの活動は、昼過ぎから集合をかけて、もって3時間。全員が揃うことは一度もなく、必ず参加するのはK、Y、Tに限定されていた。それぞれ、アルバイトや家の用事があるのを知っているから無理強いはできない。7月末には、劇中で「心の声」を届ける媒体は何にするか、数日間かけてみんなで話し合い、生徒のアイデアを元に黒木と細川のあいだで音楽機器もどきの〈y-pod〉を登用する案が出る。8月初旬にかけてそのハリボテ作りに取りかかるが、脚本がまだできていないので、登校しても時間を持て余す。

(下略。細川千明。後略。「高校生活指導」196号)

« 藤圭子さんのこと | トップページ | 土肥 信雄さんの「体罰否定論」 »

高校生活指導」カテゴリの記事