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2013年12月 9日 (月)

【立ち読み】「早蕨」10月号⑰ こんな大阪 ワンディウォーク最終回 大阪人も案外知らない!? 中之島・船場②

  中之島からのまち歩き~近代建築めぐり

 実は北船場にはモダニズム建築が集積している。

 堺筋では、北から北浜の象徴である「大阪証券取引所」。河合浩蔵設計の「新井ビル」は「パティスリー五感」の五感北浜本館になっている。安井武雄設計「高麗橋野村ビル」、宗兵蔵設計「生駒ビルヂング」と特徴的なビルが目を惹く。うれしいのは何れにもカフェがあり、気軽に内装見学をしながら休憩をとることができる。

 三休橋筋は、街路樹やガス燈の整備、電柱の地中化など、歩いて心地よい街づくりを目指して取り組みが続けられている。ここには、辰野片岡建築事務所による「高麗橋ビルディング」や「浪速教会」がある。渡辺節・村野藤吾設計の「綿業会館」。1931年竣工の日本綿業倶楽部の施設で戦前は国際会議の場として数多く利用された。1932年2月にはあのリットン調査団が来館、戦前の日本外交の舞台にもなった。(2003年重要文化財に指定)東洋のマンチェスターと呼ばれた大阪の糸へん華やかなりしころの遺産だ。毎月第4土曜日には見学も可能だ。(11:00~昼食は2600円、14:00~見学のみ500円 06-6231-4881へ。噂ではかなりの人気コース!?)
  歩き方の一例。中央公会堂から栴檀木橋を渡り、三休橋筋と堺筋を散策、その間にある「青山ビル」「伏見ビル」「船場ビルディング」にも立ち寄りたい。

  御堂筋側に足を延ばすとさらに見所は増える。伏見三丁目の「芝川ビル」。レストランや喫茶、チョコレートの専門店もある。平野町四丁目に建つ安井武雄設計の「大阪ガスビル」(1933年竣工)。8階フロアの「ガスビル食堂」は大阪の欧風レストランの草分けのひとつで、創業時の面影を再現した空間とメニューが楽しめる。(ランチが2625円、ディナーとなれば…なので、それなりの人とそれなりの一憩に…)高麗橋三丁目には、塩昆布の老舗「神宗」本店もある。

  一方、江戸期の大阪の町屋を改造した貴重な遺構が「適塾」だ。緒方洪庵が開いた蘭学塾で医業の傍ら蘭学を教え、1845年(弘化2)から現在の場所で全国から集まった塾生を指導した。それは後に阪大医学部の源流となった。内部は一般公開されている。

  今橋三丁目の「大阪市立愛珠幼稚園」は、寝殿造り風の高い塀や大屋根など伝統的な外観を誇る。1901年(明34)につくられた園舎だ。道修町一丁目には、堺筋に面して「旧小西家住宅(小西儀助商店=現コニシの旧社屋)」が建つ。大商家の町屋建築で、薬種業を営む商店として1903年築。これら和風建築三件は、重要文化財だ。

 道修町といえば「くすりのまち」。八代将軍吉宗の時代、道修町の薬種仲買仲間が組織されたのが発端。武田、塩野義、大日本住友、田辺三菱、カイゲン、小林…の名だたる製薬会社が今も本社を置いている。少彦名(すくなひこな)神社には中国の医薬の神様「神農(しんのう)さん」が祀られており、11月22、23日には「神農祭」が行われる。縁起物は、五葉笹につけた「張子の虎」。
    22日の宵宮。大阪市中心のオフィス街としての無機質な町並みに突如として堺筋から御堂筋まで、おまつり屋台が出現する。市街地のド真ん中ゆえ周囲は子どももほとんどいない地域。屋台は大人向けの「居酒屋」的な屋台で占められ、その中に挟まれるようにフツーのお祭りらしい屋台が入る。道修町に本社やオフィスを構える製薬会社の製品が笹にぶら下げられ、翌23日は休日なので宵宮はスーツ姿のサラリーマンやOLで遅くまでにぎわうのがおもしろい。

  中之島は、すぐれた景観が残り日常にとけ込んでいる。船場では、洋風・和風の近代建築が維持管理され、新たな南北メインストリートや戦後の建築物と同居しながら、現代的に活用されている。近世につくられた町を基盤として近代・現代が融合していて、お宝発掘の醍醐味も味わえる。自分も含めて大阪にいながらその魅力をあまり認識してこなかったのも事実。水都大阪、中之島や船場のもう一つの表情を味わいに、ぜひ足を運んでみては。
 
  「こんな大阪ワンデーウォーク」も少し飽いてきたので、これを最後とするつもり。 次号からはさて…  

   (中村貴彦。「早蕨」10月号。購読申し込みは、左記、「メール送信」へ)

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