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2013年12月31日 (火)

大阪府立K高校「協同的な学び」を中心とする授業改革参観記(下)

(つづきです)

 以下、佐藤氏のことばで印象に残ったものを列挙する。

○「もっとも授業が崩壊しているのは進学校。ほとんど聞いていない。聞いてない人たちに向かって延々と授業を続けられる教師の感覚は異常だ」

  この日は俗に言う「しんどい学校」所属の教師の見学が多かったが、「それ以上に進学校のほうが授業がしんどい」という指摘には共感。「受験」という単一の物差しのみで授業を評価する生徒たち相手に、さてどう受験に関係のない授業を「きかせる」ことできるのか。確かに協同的な学びは「1人で自習」を許さないところで有効である。

※佐藤学氏のいう日本の高校教育の課題
・50年前と教授法が何ら変わっていない。世界的に、一斉授業はほとんどない。一斉授業は19世紀の産物である。
・授業研究の回数はPISA参加65カ国のなかで最下位。
・協同的な学びも最下位。
・中レベル以上の学校では、学年を追うごとに学力低下をきたしている。
・学びからの転落は「ノートをとらせること」から始まる。何も考えないでノートをとること=勉強した気にさせている。

○「一斉授業だと、5分で半分の生徒がつぶれて(寝て)いる。つぶれた子には、1分以内に声をかけよ。1分以内だと「励まし」になるが、5分以後だと「注意」でしかない」

○「高いレベルを設定しながら「学び」でつないでいく」

 「易しすぎる課題」はダメだということ。課題が易しすぎると、生徒は自分たちがナメられている、バカにされていると感じ、逆に教師をバカにする。通常レベルよりやや高いレベルの課題だから生徒たちは学びあう。1人ではできない、グループでなら達成できる最高のものを提示せよ、と佐藤氏は言う。
 この日、K高校では、「2乗」とは何かをわからない生徒相手に「標準偏差」などを教えていた。「再チャレンジ」だの「エンパワーメント」だのややこしい難しいことばを使いながら生徒に「百ます計算」訓練ばかりさせるより、さすが高校生!というような問いを与える。協同的に教えあって、「やった! できた!」の喜びを体感することで、生徒たちは「発展から基礎へと降りてきて理解する」という。

○「机をしっかりとくっつけさせる。最初は教師が作法をしっかり教えよ」

「しんどい」学校でこの方式を導入するには、この「机引っ付けてー」がまず第一の関門となるだろう。指示になかなか従わない(従えない)子どもたちをコの字にしたり4人組にしたり「動かす」方法の共有が必要か。「1年生の4月からこの方法を全クラスではじめ、高校ではこんなものと思わせる」とか「この方式用の特別教室(=最初から机が組まれている)を用意して困難なクラスはそこで行う」等が考えられるが、この関門を突破できず撤退する学校もあるだろう。 

 この公開授業には、高生研メンバーの顔も何人か見られた。

「外部の参観者数に比べて、授業研究の場に出席している同校教師の数は必ずしも多くなかった。今後の課題はここかな」

 同じく見学に来ていたN氏(大阪高生研代表)がつぶやいていたけど、この壁をどう「協同的に」に乗り越えていかれるのかーー次なる策をまた伺いたいと思った。(おわり)

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