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2014年9月16日 (火)

全国大会後、私の「後泊」④

結城で入った食堂に郷土の写真集が置いてありました。その写真集をパラパラと繰っていると、1枚の写真が目に留まりました。国語の教科書や資料集でおなじみ(国語科以外の方はピンと来ないかもしれませんが)で、漱石に小説『土』を激賞された「長塚節(ながつかたかし)」です。彼はアララギ派の歌人でもあり、正岡子規からも目を懸けられました。惜しくも36歳の若さでこの世を去りましたが、もっと生きていれば歴史に残る作品を数多く残したことでしょう。つくばから関東鉄道を使って結城まで来たわけですが、途中の「石下(いしげ)」駅に彼の実家が残されていることをこの写真集で知りました。またその本には石下周辺(現在の常総市)は明治大正の時代から先進的な自由主義的教育が行われたとありました。


 恥ずかしながら『土』という小説を読んだことがありませんでしたが、授業では生徒に「長塚節、『土』、アララギ派歌人、この3つは文学史で重要な箇所なので、赤で印をつけておくように」と必ず指示してきました。『土』という作品は農民文学の記念碑的名作と言われているのですが、この作品に惹かれた理由は自身の環境も関わります(僕の実家は呉服商を営みながらの兼業農家で、父が数年前に亡くなった後、田んぼを継いで、決して好き好んでではないのですが、弟と協同で米を作っています)。もうこれは行くしかない、と決めました。ちなみに石下には「一人娘」という名の日本酒もあります。


 午後2時13分の結城発の電車に乗り、石下に着いたのは3時15分。タクシーですぐだろうと思いきや、タクシーはどんどん山の方へ向かいます。「うちも兼業農家でして、この辺りは勤めを持ちながら農業やっている家がほとんどですよ。お客さんが羨ましがられるように、ここは鬼怒川や小貝川があって水も豊かで、田んぼにきれいな水が常に流れ込んでいる状態です。途中、将門川、なんていわくありげな細い川がありましたけど、あれ、1級河川なんですよ。用水路の役目を果たしてますけど。茨城県はお客さんが言われるように、農業人口が多いですよ。でも案外知られてないんです。メロンなんか北海道より生産量多いですよ。家の敷地面積も日本一で、大きな家が多いです。家にある大木は風除けですね・・・」茨城訛の心地よいシャワーを浴びながら乗ること10分、バスも通わぬ4キロも離れた所に長塚節の生家はありました。里山という名称がぴったりの所で、田んぼや畑が広がる農村です。


 しかし「長塚節生家」という立て看板の横にある案内所には「11日から16日まで休みます」の張り紙が!


(つづく。札埜和男)

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