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カテゴリー「高校生活指導」の投稿

2014年10月 2日 (木)

【立ち読み】「高校生活指導」198号④ 多様化する「学校のあり方」 ~自身の経験とNPOの現場から見えてきたこと~

 
 前回例会でも活躍してくれた、NPO法人D×P(ディーピー)の朴さんの寄稿です。
 
 
(前略)


  私は現在、大阪府をはじめとする関西圏において、通信制高校や定時制高校に通う高校生を支援するNPO法人D×P(ディーピー)という組織を運営している。文部科学省学校基本調査によると、通信制高校では卒業生の44.5%が進学も就職もしないまま卒業するという実態がある。所属先が決まらないまま社会に放り出された高校生たちはそのまま社会的弱者となってしまう。私は、この課題を解決するために、通信制高校や定時制高校でキャリア教育プログラムを提供している。私がこのNPO法人D×Pを立ち上げたのは、後述する自分自身の経験が大きく影響している。


  私が中退した高校は、いわゆる進学校と言われる私立の中高一貫校だった。私は小学校時代に熾烈な受験戦争をくぐり抜け中高一貫校に入学し、その後も休む間もなく毎日テストと予習を繰り返し、なんとか「学校」という枠組みからこぼれ落ちないように努力していた。


  転機は中学3年生の時にやってきた。進路学習の一環で色々な大学の資料を眺め、時には大学のキャンパスへの訪問を繰り返す中で、私の中で張り詰めていた糸がぷつんと切れてしまった。「大学に入って、時期が来れば就職活動をして、会社に入社するんだろう」と、自身の将来が予測できてしまうことに、絶望してしまったのだ。自分自身で進路選択をしているように思っていたにも関わらず、気付けば決められた自分の人生を歩んでいるだけのように思えた。その他にも家庭的な事情が重なり、今までのような生活を続けられなくなった私は、高校2年次に学校を中退することを決意した。


私立高校を中退したと同時に、私はアメリカの高校に留学した。お世辞にも決して裕福な家庭ではなかったが、「交換留学」という制度を使い、アメリカの公立高校に留学生として入学した。


 アメリカの高校での学校教育は、今までの私の考えを大きく変えるものだった。
 
  (後略。朴 基浩。「高校生活指導」198号。発売中)

2014年9月17日 (水)

【立ち読み】「高校生活指導」198号③ 「学ぶ活動と自治活動を車の両輪に」

(前略)

  生徒は、概して行儀よくおとなしい。だが、それだけでは言われたことはできても、自主的な取り組みや自治的な運営ができるようにはならない。転勤2年目の井沼から見ると、①そもそも学ぶことに興味・関心が弱い、②主体的・共同的な活動や学びのスキルが身についていない、③その結果、自分の判断と責任を問われる経験が少ないから自信がなく、周囲ととりあえず比較して物事を決める傾向があると感じられた。これを反転していくためには、教師の側のいくつもの仕掛けが必要である。

(中略)

  学年最初の遠足は、「当日お買い物つき、てっぱんイケメン!グランプリ」を提案した。できるだけ自然に近い「不自由な」キャンプ場を選び、制限時間内に買い物をして、各班、「鉄板を使った麺料理」を競う料理コンテストである。料理のアイデアやレシピ探しなど、創造的な話しあいが自然に生まれることをねらった。

  
  学級代表・HR委員合同会議に、教師が活動原案を提案し、「これで決まりではなくて、もっと楽しくするために修正してほしい」と伝えると、班討論を経て、「グランプリの賞品を学級代表・HR委員が事前に各班の予算から100円ずつ集めて購入しておき、帰りのバスの中で結果発表する」というすてきな修正案が可決された。

  
  当日は、前菜からデザートまでフルコースを作った班もあって大いに楽しんだ。遠足後の総括、ニュース発行まで、自治的運営のノウハウをしっかり学ばせた。

 
  (後略。山田記代・井沼淳一郎。「高校生活指導」198号。発売中)

2014年9月 9日 (火)

【立ち読み】「高校生活指導」198号②  クラスはいろんな人がいてもいい~城塚実践から学ぶ

城塚実践の分析を、「同期」の三木さんが担当。


(前略)


 特にその長所が発揮されるのは行事で様々な仕掛けしている点である。体育祭では「大分コスモレディース」のビデオを見せて生徒の志気を高め、体育祭後は巨大バケツプリン(本文では割愛)をみんなで食べてクラスを盛り上げるという仕掛けをしている。このように、行事での成功体験を通じて、生徒も教師も「楽しい」という気持ちを共有し、クラスをまとめ上げていくのが城塚実践の核となる部分である。それは城塚先生自身が「岸和田だんじり祭り」に慣れ親しんで育ってきた「お祭り男」だから、生徒たちに「こんなことをしたら楽しい」ということを提示することができるのであり、おそらくこれまでのHRづくりにおいても同様のことをして成功してきた経験があったであろう。


ところが、そんな城塚先生の思いとは裏腹にYは自分勝手な行動をし、次第にクラスメイトから「Yの態度はおかしい」という思いを抱かれる。その結果、LINEでYに対する誹謗中傷が横行し、Yを排除する力が働くようになる。だが、城塚先生は誹謗中傷の犯人を捜すことで解決するのではなく「焦らずゆっくり人間関係を作」ることを生徒たちに要求し、異質な他者を排除して人とつながる関係がクラスにできつつあることを生徒に自覚させる。そして、多様な人間を認める人間関係の作り方もあることを提起し、実現するために学級委員長たちとYをクラスに溶け込ませる方策を考える。また、クラスになじめないことをクラスメイトのせいにしようとするYにも、本人が少しずつ変わっている事実を受け止めつつ、周囲への要求も少しずつでいいのだと諭す。感覚ではなく、事実に基づいて述べることで、Yにとっても自分の何がよかったのかを理解できるようになっている。


 
  (後略。三木啓司。「高校生活指導」198号。発売中)

2014年9月 8日 (月)

【立ち読み】「高校生活指導」198号① Y君とのかかわりのなかで

(前略)翌日のドッジボール大会で事件は起きた。Aとじゃれ合ってなかなか並ばないYに対して、他の教員が注意した際の横柄な態度が原因であったらしい。必死に間に入ろうとすると、「お前も教師の肩もつんかぁ~?お前らうざいんじゃ~。全員死ね~!」と泣きながらわめき散らした。他の生徒は、Yのその悲痛な叫び声に沈黙した。だが、その30分後には、またAとじゃれ合って走り回り、ドッジボールには参加せずに過ごした。


最終日、担任お任せの「クラス討議」という時間がある。誰一人欠けていい存在なんていない
ことを伝えるためにクラスレクを行い、「6組みんなでまとまって、どのクラスよりも楽しいクラスにしよう。みんなついてきてくれ!」「イェーイ~!」と大盛り上がりになった。だが、「最後にクラスの集合写真撮って終わりしよう」と言った途端、Yの顔が鋭くゆがみ、その場から立ち去った。委員長らが後を追うも、「うるさい。こっち来るな!」と言われ戻ってきた
 
 
  (後略。城塚俊彦。「高校生活指導」198号。発売中)

2014年9月 6日 (土)

「高校生活指導 18歳を市民に」198号ができました。

編集長としての最後の高校生活指導18歳を市民に198号ができました。最後の特集は、やっぱりホームルーム。自治活動づくりで終わらずに、ホームルームで学ぶ意味を追求して見たかった。


特集2は、脱「普通の学校」という選択。最近、いっしょにイベントしたD×Pの朴さんにも書いてもらってる。普通の学校を通り過ぎなくても、オトナになれる道を考えてみた。


振り返れば2年半。 機関誌編集をとおして、若い世代どうしが励ます関係を目指してきた。実践も分析も、自前の言葉を持つこと。そこからしか高生研も民間教育運動も再生はないと思う。幸い、若い世代の書き手が育ってきたことが心強い。廃刊の危機にあった高校生活指導だけど、5号出したうち4号が目標の1000冊以上の販売普及を達成できた。全国の高生研の仲間に感謝です。


199号から編集長は静岡の絹村さんにバトンタッチします。高生研一の実践家であり理論家である絹村さんの編集にご期待下さい。(いぬま)

2014年3月28日 (金)

【立ち読み】「高校生活指導」197号② 特集2 困難を抱えた生徒の自立支援

  Cさんのこと
 
 (じっくりていねいに寄り添う、K先生のアプローチです)

          大阪府立高校 K

発達障害と診断されるまで(1回目の2年生)
 
  ゴールデンウィーク明けに体調不良で休むとの連絡を受けたが、その時はまだ本当の事を伝えてはもらえなかった。
その後も体調不良での欠席が増えてきたので、漸く1年時の状況に目が向いた。施設からの通学生で1年間で欠席は1、成績は常にクラス5位以内。1年の3学期には体調不良を訴えることが多くなり、内科で診療の結果、自律神経失調症だと診断されていた。

  6月の個人懇談会の時に、施設の担当職員の方から、連休の体調不良はOD(オーバードラッグ)であったこと、不眠やめまい、食欲不振を訴えるので安定剤を服用していること、実家との折り合いの悪いことなどを聞かされた。うつ傾向であるとも診断されていたようだ。
  夏休み中はいつも実家に帰っていたのだが、実家ではひたすら弟たちの面倒を見てご飯を作っていたそうだ。そんな中、義父とは別居して実母と姉と姉の子と一緒に部屋を借りて住む話が出ていて、施設には戻らない等々、本人の話を信じていいのか、施設の方の話を信じていいのか戸惑うことばかりだった。
 
  このころから、味がない、眠れない、幻聴、めまいなどの症状が深刻になり、欠席早退も目立ってきた。そして10月半ば、突然3か月の入院を告げられた。プライバシー保護で施設からの情報は細かいことは教えてもらえないし、病院のドクターの話を聞くなど全く不可能な状態で、なぜ急に3か月の入院???それなのに12月の修学旅行にはOKが出る???ケース会議に参加させてくださいとひたすら訴え続けて、やっと年明けの2月に実現した。
 
  (K。下略。「高校生活指導」197号。発売中)

2014年3月22日 (土)

【立ち読み】「高校生活指導」197号 高校生を市民にする授業①

授業実践 『日本社会の貧困問題を考える』

 大阪の公立高校教員、大澤さんの報告です。

(前略)

1.「あいりん地区」訪問

  私とAさんは教える側の事前学習として、10月某日、大阪市西成区の「あいりん地区」を中心にホームレス支援の活動をしている活動家生田武志さんにお願いして「野宿者支援ネットワーク」の「夜回り」に参加した。道端、段ボールで仕切りをした中に寝ているホームレスのおじさんに声をかける。「身体の具合はどうですか・・・。」その際は必ずしゃがんで話しかけるようにネットワークのスタッフの方に教わった。「目線を下げる」こともあるが、「襲撃」ではないことを示すためだ。ホームレスの人たちは何よりも襲撃を恐れているという。南海電車萩ノ茶屋駅近くの集会所から阿部野橋界隈そしてJR天王寺駅まで。道々、スタッフの方にあいりん地区の歴史や貧困の現場の諸相、人々の暮らしぶりを教えていただきながら、ホームレスの方々に声をかける。引き受けがたい現実を見て、重たい気分を引きずって歩いたおよそ90分の行程だった。生田武志さんには、この授業が一通り終わったあとで生徒に授業でお話をしてもらうつもりにしていて、それは12月に実現させた。
 
6.授業の展開

  入は、新聞記事を読んで私があいりん地区にいった話をしている。私:「先生ね、この前、西成に行ってきた。あいりん地区というところ」Bくん:〈あいりん?やばない?〉〈シャブ中のおばちゃんにからまれたことある。〉Cくん:〈あいりんって?〉というやりとりと私のあいりん地区体験を話した後で、Cは私が思いもかけない話を切り出した。それは、Cが中学校の時の部活帰りに、川の河川敷で暮らすホームレスの人たちに花火を打ちかけた話である。
  C:〈BBQしてたとき、(ホームレスのおじさんに)あげようと思ったけど、プライドがあるんかしらんけど、「いらん」って言う。〉B:〈俺も~〉C:〈ホームレスに追いかけられた。花火してて。〉私:「襲撃か?」C:〈ロケット花火が落ちた。〉私:「○川で?」C:「○川。」私:「打ち込んだんか?」C:「たまたま。ナイフ出てきた。自転車で追いかけられた。次、鉄パイプ出してきた。」B:「花火が家に入ってきたらキレるわな。」私:「襲撃と思われたんやろな。」
 
  (大澤仁。つづく。)

2014年3月11日 (火)

「高校生活指導」197号、できました。

高校生活指導18歳を市民に 編集長の井沼です。
春を呼ぶ197号、3月1日、教育実務センターから発売です。

①今回は、特集1「高校生を市民意する授業」はじめ、ぴらいちの数学実践を入れると5教科すべての実践が収められた、授業に焦点を合わせた1冊となりました。
3月2日の近畿ブロックゼミでも5教科の授業講座をひらくと、若い先生の参加が急増し、197号が27冊も売れました。
授業への学ぶ要求はすごく高いと感じます。

②特集2「困難を抱えた生徒の自立支援」は、特別支援の必要な生徒に対する高校の実践が3本も収められ、大学の授業のテキスト・参考文献として格好の1冊になっています。
すでに、会員の方から、テキスト用として100冊以上の注文を頂いています。

③特集1の編集を担当したHさんから、「先日は発送作業お疲れ様でした。先ほど和歌山の高校の先生から連絡があり(和歌山サークルMLで197号の宣伝をしました)、13冊目が売れました!」との連絡。
「道徳教育の教科化」の動きの中、研究者なかまでは、松下論文「道徳教育と生活指導をつなぐ」が読まれるそうです。
Hさんのがんばりを示すような、197号は「みかん色」(笑)

④大阪の書店 清風堂さんからすでに追加注文が入りました!

「高校生活指導 197号が残り1冊になっています。

196号も残り1冊になっています。

春の教育書フェアーも20日から始まりますので、在庫を持っておきたいのでよろしく
お願いいたします。

偏差値では区別されない「高校生を市民にする授業」 とても深くて難しい特集ですね。」

そうですね。でも、意外と難しくないかも。
教科の枠の中だけで考えているときはムズカシク感じるのですが、教科の枠をはずして「市民を育てる」という目的から眺めてみると、実はいろいろ見えてくる気がします。
考えてみれば、高校の教科教育って、専門家の育成ではなく、専門分野にも意見を言える「大いなる素人」=市民を育てる教育のはずですから。

2013年9月 7日 (土)

【立ち読み】「高校生活指導」196号⑤ 市民の教育へのかかわり方について考える

最近、私たちとさまざまな場面で連携を重ねている、「発言する保護者ネットワークfrom大阪」の大前ちなみさんへのインタビュー。

最終部分を抜粋です。

(前略)

大前 コアの当事者と周辺の当事者とは区別されないといけない。加害者は罰する必要があると思います。しかし、全部は連続しているという面もある。ケアというのは交じり合ってケアするのですから、わけてしまうとなりたたない。つまみ出すだけでは何の解決にもならない。

藤本 学校を変えるためには学校現場を市民が監視しなければならないのだという考え方もあると思うのですが。

大前 連続しているという考え方から言えばやはり監視ではなく参加かなと思います。市民だって、その地域のコミ
ュニティーの一員として考えれば、監視する側ではなくて当事者でしょうね。 
  その当事者というのは受益者だけが当事者ではない。受益者負担とよく言われますが、受益者と言うと教育を受ける自分の子どもだけが利益を受けるだけということになります。自分の子どもが育っていって社会を支えて、となりの子どもも社会を支えて、みんなが支えあい、支えられていくというのは、社会的な受益であって、個人の受益ではないと思います。その意味では、かかわりの濃淡はあっても、社会全体が学校現場の当事者なのだという自覚が必要なのではないでしょうか。

(「高校生活指導」196号)

2013年9月 5日 (木)

【立ち読み】「高校生活指導」196号④ 「体罰」問題についての一弁護士の考察

(第2特集は「暴力をこえる」。大阪高生研が行った緊急集会のパネラー、発言者の方々にも多く登場いただいています。下川和男弁護士のご寄稿から)

「体罰」問題についての一弁護士の考察

(前略)

「体罰」は暴力、暴力は許されない

 桜宮高校問題後、各種アンケートが行われた。「体罰」として公表されたほとんどは、殴る、蹴る等のまさに暴力である。暴力は、犯罪であり、暴力だけでも「暴行罪」(2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留もしくは科料)、暴力の結果怪我をすれば「傷害罪」(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)、さらに死の結果を招来すると「傷害致死罪」(3年以上の有期懲役)である。
 
 ただ、全く暴力が許されないのではなく、例外的に暴力が許される場合がある。例えば、ボクシングや格闘技などの正当な職務行為、正当防衛や緊急避難といわれる場合である。正当防衛は「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するためにやむを得ずにした行為」であり、例えば、教室内で暴れる生徒に対して、先生自ら及び他の生徒の生命・身体の安全を守るために制圧行為を行うことがこれにあたる。

  ドラマ「3年B組金八先生」で「かとうまさる」が暴れた場面で、金八先生は生徒の生命・身体の安全のために彼を押さえ込むことは許された。正当防衛は、今まさに権利が侵害されている状態での防衛行為であり、侵害が過ぎ去っている時には防衛行為は成り立たたない。教室で暴れた「かとうまさる」は、教室から出て行くが、それを追いかけてまで制圧行為はできない。
  また校舎裏でたばこを吸っている生徒を見つけ「罰」として、生徒を殴ることは許されない。先生の生命・身体への攻撃はなく、正当防衛の成立する状態ではない。また、仮に生徒が暴れていても、先生の一声で生徒が制止した後には侵害が治まっているから、正当防衛とはいえない。

(下川和男弁護士。後略。「高校生活指導」196号)

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